トヨタが人材育成のために残業解禁。これってどうなの？

娘のスイミングスクールでたまたま見かけた日経の記事に猛烈に反応。

トヨタが人材育成のために残業を解禁するとの記事。

（検索すればすぐ見つかると思います）

これによると、リーマンショック以降、間接部門（事務系スタッフ）で規制をしていた残業の制限を解禁するとのことです。なぜなら、先輩社員が後輩への教育をする時間がなく、人材育成力が低下したとのこと。

えぇ？何これ。定時時間中では後輩育成ができないシステムなんでしょうか。

そもそも労働基準法では、労働時間が決められています。

【労働基準法抜粋】

第32条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き１週間について40時間を超えて、労働させてはならない。

２使用者は、１週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き１日について８時間を超えて、労働させてはならない。

ただし、労働者と企業側の協定によって、この労働時間を超えて労働させることができる、という規定になっているはずです。つまり残業というのは「例外」であって、これが通常ではないはずなんですね。

ところが、この日経の記事によると、先輩社員が日中は自分の業務で精一杯になっているために、後輩への指導ができないと。なので、残業を解禁し、日中は後輩への指導をし、残業時間で自分の業務をする、というようなことが書かれていました。

理解に苦しみます・・・。

協定があれば、残業が出来るのではなく、例外的に残業を認めているのであって、残業を前提として仕事を回していること自体が不自然ではないかと思います。

世界を見渡すと、ヨーロッパなどでは残業自体を法律で規制しています。しかし日本の場合、事実上規制がないに等しいと言います。もちろんある程度の上限はあるにせよ、協定があれば、残業ができてしまうのです。

日本では、割増した残業代を支払うことで規制をしているのですが、社員を増やすよりも、残業代を払った方が経営上助かることは明らかで、こういう規制だけでは、残業時間が増える一方です。

また、労働者側も残業収入を前提にした生活をしているいう問題もあります。

大企業は制度上では、社会の流れに沿って、ワークライフバランスを意識したものが整備されていますが、この記事を見る限りでは、それは制度上だけのことで、実際には活用できない制度になってしまっているのではないかと、（実際はそうではないのかもしれませんが）思えてしまいます。

そもそも残業は例外なんです。これをしっかりと理解することが大切なのではないでしょうか。

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